急成長を前提とするスタートアップ向けの人事戦略論で、10人程度のチームから200人の会社を対象としているようです。「採用」「人事管理」「組織」「文化」「コミュニケーション」の5領域の観点から、必要なプロセス・管理を議論しており、よく構造化されています。 最終章の第12章に、急成長する企業で起こりがちな問題と処方箋(1~11章の内容への参照)がまとめられております。
残念な点として、本書内では議論の理解を補助する多様なブログ記事など副読リソースを提供していますが、bit.lyで紹介されているものは、リンクが切れていたり、乗っ取られていたりすることがあります。
読書メモ
採用
- 人事のライフサイクルは、募集(紹介、ソーシング、応募)→面接→採用(内部)決定→身元紹介→採用と条件の通知→研修(オンボーディング)→ [中略] →退社手続き
Acquihiring
この他の採用の方法のひとつにAcquihiringがありますが、その内容にもページを割いてました。
- 文化的不適合が原因で失敗に終わる例も多い。Acquihiring実施には、才能、スキル、文化、価値観でのマッチングが重要になる。マッチングは創業者だけでなく、極力すべての社員とも行う。
- 被買収企業の現行プロダクトやビジネスの買収後の処遇を計画する。
- 買収後に「現在手掛けているビジネス・プロダクトが終了する」「被買収会社のチームが解体されて買収会社に組み込まれる」可能性に対して期待値を形成する。
- 買収前から(同じ釜の飯を食うくらい親密な業務交流があるような)協業で良い関係を築いていると成功しやすい。
研修(オンボーディング)
- 最初の週、理想的には初日に上司と1 on 1を持つ
- 幹部に引き合わせるなどし、会社の歴史や製品、現状を伝える機会を設ける(オリエンテーション)
- 製品への理解、サポートチームで製品が顧客にどう受け取られているのか知ってもらう
- チーム数が5以上、社員数が20名くらいであればチームローテーションという部門巡回型の職場体験が良い。チーム数がさらに多くなってくると巡回経路が長くなりすぎるため、正式に研修プログラムを作ると良い。様々なフォーマットがありえるが、伝統的日本企業の新卒社員研修のようなチーム配属を伸ばして会社全体を理解してもらうフォーマットも候補にあがる。
人事管理
- 会社の規模が大きくなるにつれて組織の多層化が必要になる。そこで管理職が登場するが実装の段取りを誤るとと、現場のエンジニアが「二流市民」に落とされたと誤解したり、管理職にならないとキャリアの先がないように錯覚したりする。このため、エンジニア用・管理職用の2通りのキャリアパスを用意するなど、正しいコミュニケーションが処方箋となる (Creating a career path | by Alexander Grosse)
- プロセス不在だと、業務で不文律がはびこるようになる
コミュニケーション
(COVID前の著書なので、実感としてリモートワークのメリット・デメリットいずれもニュース性がなくなってしまったが) リモートワークの弊害と取り入れに関する工夫も言及されていました。
- 会社を構成する社員数が多くなると、社員の組み合わせ数が爆発的に増えるためミーティングがミーティングを呼ぶようになる。
- コミュニケーション手段の選び方、タイミング、透明性、コミュニケーションを取らないという考え方も出てくる。
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