連続系PID制御 : バネマスダンパ系プラント

一般の制御理論ではいろいろな制御対象に適用できるようプラントを抽象化して議論しますが、ここでは、実際に制御設計をするときに便利なように、公式めいた形でPID制御を適用した伝達関数を求めます.

プラントは単純な物理モデルである2次系を対象としました.

バネマスダンパ系(2次系)とPID制御

バネマスダンパ系のプラントにPID制御によるフィードバック制御を施した時の伝達関数を求たい.まず、システムとして下記を設定します.

このブロック線図(伝達関数)を等価変換すると
という形になります.

このうち、M, c, kの記号については物理システムによる違いで同じように扱うこともできます.この時、 Kp,Kd の単位は、それぞれk, cに、KiN/s などに一致。プラントが1次系で、コントローラがPI制御ならば、M=0,Kd=0 を代入して、PI制御の結果を2次遅れ系として扱うことができますね.

Fx'x
(制御目標)
Mck
機械系
[直線運動]
力 f [N]速度 v [m/s]変位 x [m]質量 M [kg]粘性摩擦係数
D [N・s/m]
ばね定数
K [N/m]
機械系
[回転運動]
トルク
T [Nm]
角速度
ω [rad/s]
角変位
Θ [rad]
慣性モーメント
J [kgm2]
粘性摩擦係数
D [Nm・s/rad]
ばね定数
K [Nm/rad]
電気系電圧 v [V]電流 i [A]電荷 q [C]キャパシタ
1/C [1/F]
抵抗 R [Ω]インダクタンス
L [H]
伝熱系






外乱が下図のような形で入る場合、

出力xについては、
x=Kds2+Kps+KiMs3+(c+Kd)s2+(k+Kp)s+Kir+sMs3+(c+Kd)s2+(k+Kp)s+Kid

プラントが入力に対し係数を持つ場合

DCモータの無負荷の速度制御などが、これにあたります.

この場合、モータへの負荷(=外乱)による安定度への影響評価は別途する必要がありますが、
ファンやポンプがDCモータの負荷の場合は、定常状態では積分項が負荷(外乱)を補償する形に落ち着く
(=0infe(t)dt)。


等価変換結果:

Vω'xMckA
DCモータ電圧
v [V]
角加速度
α[rad/s^2]
角速度
ω [rad/s]
電機子インダクタンス x
イナーシャ
L・J
[Hkgm2]
電機子抵抗
x
イナーシャ
R・J
[Ωkgm2]
トルク定数^2
Ke2
[Nm2/A2
トルク定数
Ke [Nm/A]